この記事はレッドジャーニーのアドベントカレンダー4日目として書いています。
昨日は弊社のぺこーらが書いていますが、内容もさることながら最後に宣伝を忘れないというところが私と違ってさすがとしかいいようがありませんw
ユーザーはプロじゃない
もう15年くらい感じているプロダクト開発の現場における状況って未だに変わっていないなと思うことがあります(たぶん世界はもっと変わっていない)。
15年前(本当はもう少し前)といえば、私自身は某保険会社の立ち上げのプロジェクトに参画していました。
当然ながら当時の私のようなSIerのもつ保険業務知識やそもそもの保険に関する知識も事業会社である保険会社さんの人たちには到底及ぶわけはありません。
ただ、その頃から感じていたのは、この人たちはものすごく頭も良いし、業界や商品のことを本当にわかってらっしゃるということ。の反面、ユーザーはそんな商品知識や保険料の成り立ちについてわかっているわけではないので伝わるのかしら?という疑問でした。
あれから15年たち、最近はたくさんの業界の方とお仕事をしていますが、やはり同じような気持ちを感じるシーンがありました。
当然商品やサービス、プロダクトはプロである人たちが細部まで作り込んで考えることはとても素晴らしいことだと思いますが、ユーザーの大半はプロではないということを念頭に置くことは非常に大事なことです。
プロも道を外れればプロじゃない
事業会社の人はその道のプロかもしれませんが、例えばそれを売るとか、それを認知させるとかのマーケティングのプロかというとそうではないことは往々にしてあります。
先日もとても素晴らしいプロダクトの構想をもつクライアントさんとお仕事をしました。それはWebサービスで、比較的富裕層や年齢層の高い人向けのサービスを想定したものでした。
ある日、とある7人ほどが集まったミーティングで、
「で、これはどうやってユーザーにアプローチするのですか?」
という質問をしてみたのですが、返ってきた答えは、
「WebサービスだからXやインスタで広告流したり拡散してもらえばいいんじゃないですかね?」
でした。
私もすかさず打ち返します。
「ほほう、では皆さんのような年齢層の高い人がターゲットなので皆さんもターゲットに含まれると思いますが、この中でXを日常的に見たり拡散している人はどれくらいいますか?」
「。。。」
「だとするとなかなか難しそうですね。。。」
というやりとりがありました。
結局この件は、ターゲットを絞りに絞って検証するという意味でアプローチをし、最終的にはポスティングが一番効果があった、みたいなやりとりで一旦幕を引きました。
ユーザーは会議室にいない
会議室で仮説を考えたり、結果を吟味することはとても大切なプロセスです。
そして、自分たちが議論しているのが仮説なのか、事実なのかを切り分けることはその一番最初のプロセスになります。
得てして、自分たちはドメインのプロであるが故に、あるいは日常の何気ない"普通"にとらわれて、バイアスをかけてしまうことはよくあることです。
このバイアスに囚われているかもしれない、ということを疑うことは批判的な行動ではなく建設的な行動であるという共通理解をもちたいですね。
そして、事実に至っていない仮説の検証はユーザーに対して行う必要があるということになります。
別に「餅は餅屋」とは思っていない
一応誤解なきようお伝えしておくと、今回の事例のケースにおいて、マーケティングはプロじゃないんだからマーケティングのプロに任せたほうがよい、と言いたいわけではありません。
私たちは暗黙に、車は移動するもの、若者はインスタを使うもの、鉛筆は書くもの、という意識をもってしまう生き物であるがゆえに、車を個室と捉えるとか、鉛筆を束ねて折れにくい棒として使おうとか、あまり考えなくなってしまう生き物です。
そういう意味では、子どもたちのほうが柔軟に手元にあるもので自由な発想でカラフルなレゴを組み立てて恐竜を作ってみたり、ペットボトルを使ってロケットの工作をしてみたりしていませんか?
ユーザーというのはある種突拍子もないことをする人たちで、自分たちのはるか斜め上の使い方や行動をとる生き物だと思っておくのがいいのだと思います。
結局、ユーザーは普通こうやって使うでしょ、は某氏の「それはあなたの感想ですよね」と同じではないでしょうか。
仮説と事実にしっかり線を引き、本当のユーザー行動、ユーザーインサイトを手に入れる活動をできるかどうかが大事なのですよ、ということをお伝えしたかったのでした。
その上で、必要なら餅屋に頼んでみることをオススメします。
ということでしっかり読んでもらうとタイトルがただ言いたかっただけじゃん!と言われそうなくらい中身とずれましたがご容赦くださいw
明日は「はまぐちともやの落とし穴シリーズ」でおなじみの濱口くんの素敵なお話が聞けることでしょう!w
お楽しみに!