この記事はレッドジャーニーのアドベントカレンダー2日目の記事として書いています。
はじめに
11月の21日、22日に行われた日本でも歴史のあるアジャイルのイベントであるアジャイルジャパンに公募登壇してきました。
弊社もプラチナスポンサーをしていましたので、ブースでワイワイしてきましたが、今回はその話はしません。
登壇のテーマ
今年のアジャイルジャパンのテーマは「People-Centric Agile」ということで、人間味にフォーカスをしています。
私は基本的に人付き合いがあまり得意ではないのであれなのですが、最近、特にこの1年の自分のクライアントさんへの向き合いをふりかえると、プロセスやフレームワークよりもそれをとりまく人間の活動に焦点を絞っているなと。
これまでの日本のアジャイルの歴史の中で、それこそ人間の活動に焦点を絞っているのは「プロジェクトファシリテーション」だと私自身思っているところがあり、このタイミングに最近の想いを吐き出そうと思ったのでした。
ということで、テーマは「組織をアジャイルにしていくのにプロジェクトファシリテーションが必要ないわけがない」としました。
プロジェクトファシリテーション is 何
プロジェクトファシリテーションとは、永和システムマネジメントの平鍋さんが2000年代前半に提唱されたもので、その当時からの資料はオブラブのサイトにいまでも残されています。
その中の「プロジェクトファシリテーション価値と原則編」には、こう記載があります。
PF(プロジェクトファシリテーション)は,その場その場の変化に対応し,チームが協力し合って創発的に成果を出していく,「リーダーシップ・コラボレーション型」の新しいチーム作りの形なのです.
また、こうもあります。
PM(プロジェクトマネジメント)の重要性は,ここでは強調しておきたいことです.PM は成果を計画的に出していくために必要な技術です.これに対して,PF(プロジェクトファシリテーション)はプロジェクトの現場を活性化し,モチベートし,協調関係を作るために必要な技術です.PM をプロジェクトの「動脈」とすると PF はプロジェクトの「静脈」といえるかもしれません.
静脈が詰まってしまっては,動脈がうまく働きません.
つまり、プロジェクトをプロセスとリズムで整えていくものがプロジェクトマネジメントだとするならば、チームやメンバーをモチベートし、協調していける場作りこそがプロジェクトファシリテーションだと言っています。
私は、アジャイルは「人」に向き合った活動だと理解しており、プロジェクトを営むうえでの真髄はプロジェクトファシリテーションにあると考えています。
現代におけるプロジェクトファシリテーションの重要性
現代におけるプロダクト開発、ソフトウェア開発の文脈においては、アジャイルについてはほとんどがScrumであるケースが多いと思います。
しかしながら、Scrumについても軽量なフレームワークといわれており、イベントやセレモニーと言われる活動を、イテレーションと言われるようなタイムボックスの中で行うことを中心とした、いわばプロセスとリズムで整える「動脈」に過ぎないのです。
とすると、Scrumにおけるチームがチーム然としていくために必要なことはなにか。
まさにプロジェクトファシリテーションなのです!
おそらく、これまでも、書籍やWebの情報でScrumについてしらべて、朝会をカイゼンしてみたり、すべてのイベントやセレモニーをやってみたけれど、どうもソフトウェア開発やプロダクト開発がうまくなった感じがしない、という経験はみなさんあるのではないでしょうか。
それは、Scrumがいいとか悪いではなく、やはりScrumをやるチームにおける場作りがそれらの土台となるからだと思います。
現に、チームでScrumを始める前に、インセプションデッキやドラッカー風エクササイズなどのチーミングを行うことが多く求められていますよね。
ただ、これもあくまでHowなので、これをやるための場作りもまた重要になってくるのです。
そこまではどこにも書いていなくない?と言われてみると確かに、と思えてきませんか?
プロジェクトファシリテーションマニフェスト
今回の登壇は、松本屋のまつじゅんさんとの共同登壇という形を取っていますが、平鍋さん公認のプロジェクトファシリテーターである彼と登壇1時間前くらいに相談して下記のマニフェストを作りました。
「プロジェクトファシリテーション」とは
やっていることよりもやっている場の状況を、
やったことよりもやったことで起きた結果を、
自分のことよりもチームのことを、
教えられるよりも自ら感じることを、
他人の指示よりも自分たちの意思や感情を、
価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。
どうでしょうか。
今後に向けて
2000年代前半といえば、ソフトウェア開発の現場にアジャイルが入ってきて少しの頃。すなわち、現場とはソフトウェア開発プロジェクトにあったのだと思います。
しかし、2024年におけるアジャイルは、ソフトウェア開発だけではなく、プロダクト開発、組織変革、そしてひいては経営の領域にまで適用範囲が広がっています。
プロジェクトファシリテーションはあくまでプロジェクトマネジメントに相対する形で名付けられたものだと思うのですが、もう今の時代にはもしかしたら”プロジェクト”という言葉が最適ではないか、"プロジェクト"を拡大解釈していく必要があるように思います。
あるいは、プロジェクトファシリテーションの中身も、数人の”開発チーム”を意識した活動に終止するのではなく、より多くのより多様な人との関わりの中においても活きてくるような、そういう形に変えていくことも必要なのでないかと思います。
久しぶりにプロジェクトファシリテーションの話聞けて嬉しい。 https://t.co/Ahsantwdu5
— Kenji Hiranabe (@hiranabe) 2024年11月23日
ありがとうございます!
— 侍れっど / samuraiRed @バーチャルアジャイラー (@samuraiRed) 2024年11月23日
プロジェクトファシリテーションの第二版というか、改補版というか作りたいねって @j_matsumoto と話していました。
どうでしょう?
いいっすね! @amapyon どう?
— Kenji Hiranabe (@hiranabe) 2024年11月23日
さて、この続きが夢で終わるのか、本当に実現するのか。
2025年のお楽しみにとっておきましょう!