侍れっどの明日できることは明日やれ

徒然なるままに筆を書き連ねます。

100日後に死ぬスクラムマスター

この記事はレッドジャーニーのアドベントカレンダー8日目の記事として書いています。

adventar.org

 

 

 

 

はじめに

最近のわたしはDX伴走支援で組織や現場を支援していたり、アジャイルコーチとして現場の支援をしていたりします。

先日、とある現場のスクラムマスター相談会で、スクラムマスターの苦悩を相談されたので、そのことについて書こうと思います。

 

そうそう、100日後に死ぬワニが数年前に話題になりましたね。

twitter.com

えっと。。。特になんの関係もありませんのでご容赦くださいm(_ _)m

 

若きスクラムマスターの悩み

その時のスクラムマスターの方の悩みは、大きくわけて以下の2つでした。

  • 「スクラムマスター」に対する期待値を、チームメンバーそれぞれに認識してもらう方法がわからない
  • 「スクラムマスター」の役割を移譲していくタイミングを見つけるのが難しい

たぶん、現場をいろいろ見られたり、実際にやられている方々にはあぁ、あるあるだよねーって感じかもしれません。

 

結局、期待値をコントロールするにせよ、役割を移譲するにせよ、外発的動機づけで行われたものは、同じく外発的なもので失われていく(例えば時間とか、忙しさとかもそうかもしれない)わけです。

 

つまり、内発的なもの、あるいは追い込まれたシチュエーションによって、初めて人は自分ごととして捉え、主体的に考え、動けるようになるといえるのです。

 

一つの解

たまたま最近読んだブログにこんなのがありました。

developers.freee.co.jp

この記事の中にも、

スクラムマスターが長期間休んでみる

とりあえず休んでみて、メンバーがやらざるを得ない状況を作ってしまう、ということですね。 やり方としては単純に休むだけなんですが、特に休んでる間どうしてほしいといったことは言わないように意識しました。 ファシリテーションを誰が担当するのか、チケットの管理などチーム自身が決定して動けるようにしたかったためです。 そして戻ってきた後も休んでいる間の形式を継続してもらって、自然とチーム自身がスクラムを運営していくようにしました。 アジャイルコーチの方から勧められて試したアプローチですが、移譲も出来るし自分は長期間休めるしで一石二鳥でした。

というものがありました。

これはある意味、追い込まれたシチュエーションに該当するものです。

一つの解として、僕もよい方法だなと思います。

 

スクラムマスター is 何?

そもそも、スクラムマスターって何者なのでしょう?

スクラムガイドにはこう書いてあります。

 

スクラムマスターは、さまざまな形でスクラムチームを⽀援する。

  • ⾃⼰管理型で機能横断型のチームメンバーをコーチする。
  • スクラムチームが完成の定義を満たす価値の⾼いインクリメントの作成に集中できるよう⽀援する。
  • スクラムチームの進捗を妨げる障害物を排除するように働きかける。
  • すべてのスクラムイベントが開催され、ポジティブで⽣産的であり、タイムボックスの制限が守られるようにする。

スクラムマスターは、さまざまな形でプロダクトオーナーを⽀援する。

  • 効果的なプロダクトゴールの定義とプロダクトバックログ管理の⽅法を探すことを⽀援する。
  • 明確で簡潔なプロダクトバックログアイテムの必要性についてスクラムチームに理解してもらう。
  • 複雑な環境での経験的なプロダクト計画の策定を⽀援する。
  • 必要に応じてステークホルダーとのコラボレーションを促進する。

スクラムマスターは、さまざまな形で組織を⽀援する。

  • 組織へのスクラムの導⼊を指導・トレーニング・コーチする。
  • 組織においてスクラムの実施⽅法を計画・助⾔する。
  • 複雑な作業に対する経験的アプローチを社員やステークホルダーに理解・実施してもらう。
  • ステークホルダーとスクラムチームの間の障壁を取り除く。

 

そんなの知ってるよって話かもしれません。

さて、"スクラムマスターが"主体的に行えることはなんでしょう。

 

そう、『支援』ですね。

 

中身を読んでもらってもわかるとおり、「働きかける」「守られるようにする」「理解・実施してもらう」というように、チームの活動に対する責任主体はスクラムマスターにはありません。

 

すなわち、もし、チームの周りをとりまく事情が変わらないという状況が設定できたとしたら、スクラムマスターのお仕事は、いずれ必要ないお仕事になっていくはず、なのではないでしょうか(なるとはいっていないし、不要だともいっていない)。

 

100日後に死ぬスクラムマスター

わたしはアジャイルコーチでもあります。

現場に雇われているアジャイルコーチの目標は、現場が成長してアジャイルコーチをクビにしてくれることです。もういらねーよって言ってほしいわけです。

 

そして、それは現場の人たちもいずれそうなれるようになりたいと大半が思っています。これは内発的なものです。

 

では、スクラムマスターはどうなのでしょう。

スクラムマスターというロールがスクラムというフレームワークの中に存在する以上、スクラムマスターは永続的に必要だ、という認識を持たれがちです。

 

しかし、先の話の通り、「いずれ必要ないお仕事になっていく」ことができるものだ、という前提をおいたとしたら、もしかしたらスクラムマスターへの周りの理解や認識、行動が変わるかも知れません。

 

つまり、100日後にスクラムマスター(というロール)は死ぬんだと期限をつけたロールにするのはどうでしょう

100日後にスクラムマスターが死ぬ。

つまり、僕らはスクラムマスターが死ぬまでに、スクラムマスターがどんなことを考え、どんなことを実行し、どんなことを結果として残しているのかを理解、体得する。

そして、それを100日後もチームに宿し、自分たちはその先も生きていくんだ、とするとしたら。

 

そうすることで、チームにとってのスクラムマスターへの依存や期待値というものは大きく見直せる気がしませんか。

もし、きっかけを作るのであれば、チームでスクラムガイドの読み合わせ会なんかを開いてみると、スクラムマスターの章でそんな議論もできるのかな、と思います。

 

おわりに

ネタ的な書き方をしてしまいましたが、別にスクラムマスター不要論を唱えているわけではありませんのであしからず。

すべての現場がよりイキイキしますよう、心から願っています。