侍れっどの明日できることは明日やれ

徒然なるままに筆を書き連ねます。

僕たちの北極星をさだめよう

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こんにちは。れっどです。

今日はインセプションデッキ Advent Calendar 2019の13日の金曜日バージョンでお送りしますw

 

さて、私は普段渋谷のミドルベンチャーで採用、教育、開発その他をやっていますが、今年は縁あって 文部科学省が「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成」と唱えるenPiTのビジネスシステムデザイン分野にも関わっています。

 

enPiTのビジネスシステムデザイン分野とは、簡単に言うと学生がチームを組んで半期でアイディアソン→ハッカソン(要は0→1からの1→10)していくような授業で、筑波大学では永瀬さんとかkyon_mmくんが開発のイロハを教えていたりします。

というわけで、僭越ながら僕も先日筑波大学で講義をしてきました。

 

その中で「筋の通ったプロダクトのツクリカタ・ソダテカタ」というテーマで、ユーザ視点でプロダクトをツクル、グロースさせるということについてお話をしたので、その中からインセプションデッキに絡むところのお話をします。

 

プロダクト≒ビジネス

私がなぜこの話をしたかと言うと、プロダクトを作りたい作りたいいうのは簡単ですが、プロダクトというのはほぼニアリーイコールビジネスと直結しており、プロダクトの是非はビジネスの是非といっても過言ではありません。

ということは、プロダクトには一貫性が必要だし、ユーザにリーチし続けなければいけない。つまり、一貫したプロダクトがユーザをつなぎとめ、増やし、ビジネスが大きくなるということです。

 

プロダクトとは何なのか

では、プロダクトとは何なのかについて考えてみます。

私は、一言でいうと、「プロダクトは感情を動かしてくれるもの」である、と考えます。

言い換えると、「プロダクトが提供できるのは、機会、体験、経験だけ」であるということです。

しかし、機会、体験、経験が突き動かす感情には個人差があリますよね。すなわち、個人差があるということは、「同じサービスでも使ってくれる人と使ってくれない人がいる」ということです。

至極当たり前なことを言っているようですが、これはとても大事なポイントです。

すべての人を幸せにしたい、という願いは同時に誰も救わないということを改めて自覚すべきです。

 

ユーザとは誰なのか

では、どういう人がユーザなのか、何にお金を払ってくれるのかについて考えてみます。

上記の「プロダクトが提供できるのは、機会、体験、経験だけ」ということからも明らかなように、人は機能にお金を払うわけではありません。機会、体験、経験がもたらす価値にお金を払ってくれるのです。

つまり、その体験に価値を感じてくれる人がユーザということになります。

 

何をつくる、から始めない

体験に価値を感じてくれる人のためになにができるだろうか、がプロダクトなのだとしたら、どんな機能を作ろうかという視点でプロダクト開発を始めることはすでに一貫したプロダクトの開発からずれた道を歩んでしまっています。

僕たちにとってのユーザとは、そのユーザの価値とはなにか。それがプロダクト開発の成否に大きく寄与するということです。

 

理解より始めよ

デザインスプリントという、プロダクトデザインのための柔軟なフレームワークがあります(詳細は下記本をご参照ください)。https://www.amazon.co.jp/dp/4873117801/

ざっくり言うと、5日間で新しいプロダクトの企画から実際に動くものまでを作って評価します。

そのフレームワークの進め方は下記のようになっています。

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この中でも、理解のフェーズからはじめるべき、とあります。

僕たちはどんなユーザに、どんなユーザの感情に、どんなユーザの感情から引き起こされる行動にリーチするのかを「理解」するところから始めるべきなのです。

 

プロダクトの太い骨を作る

筋の通ったプロダクトというのは、屋台骨となる太い骨がまずあり、そこに肉付けされていくものです。

及川さんは、その太い骨としてCoreとWhyとWhatが大事だと言っています。

Core

Coreとはプロダクトのミッション・ビジョン、コアバリューのことです

Why

Whyとはプロダクトの対象とするペルソナ、またペルソナにとってのペイン、ゲインのことです

What

WhatとはプロダクトのUI、UXなどに表せられるものです

 

これらは互いに落とし込み、または検算できるように常にRefineされるべき関係の定義です。

 

プロダクト開発とはなにか

僕は、この3軸がフラクタルに広がる世界をプロダクト開発だと考えています。

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インセプションデッキの話をしよう

長くなってきたので、そろそろインセプションデッキの話をしますね。

インセプションデッキには、下記の10個の質問と回答から構成されます。

  1. 我われはなぜここにいるのか(Why1)
  2. エレベーターピッチを作る(Why2)
  3. パッケージデザインを作る(Why3)
  4. やらないことリストを作る(Why4)
  5. 「ご近所さん」を探せ(Why5)
  6. 解決案を描く(How1)
  7. 夜も眠れなくなるような問題は何だろう(How2)
  8. 期間を見極める(How3)
  9. 何を諦めるのかをはっきりさせる(How4)
  10. 何がどれだけ必要なのか(How5)

僕はプロダクト開発に一番大切なのは、Coreであるし、それはすなわちインセプションデッキの質問では、エレベーターピッチを作る(Why2)であると考えます。

エレベーターピッチで出した回答は、0→1をするときも、1→10をするときも、かならず立ち戻り、僕たちの進むべき道の価値判断基準として唯一無二の手助けとなります。

『Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方』の著者であるマーティ・ケイガン氏はthe North Starという言葉で同様のことを表現しています。すなわち、北極星ですね。

 

僕たちの北極星をさだめよう

というわけで、講義の中で、チームごとに別れて自分たちが作ろうとしているプロダクトに対して、改めて北極星を定めてもらいました。

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ふりかえってみると、北極星を見失っていることはプロダクト開発をしていると意外とよくあります(ないほうがいいんですが、様々な事情、思惑が純粋に追い求めたいものだけを追い求められない瞬間というのはどうしてもありますからね)。

そんなときも、常に僕たちの北極星を確認して行くことはすごく重要なので、これから社会にでていってからも、学生の皆さんには忘れないでいてもらえるといいなと思っています。

 

最後に

めちゃ前置きが長すぎましたが、150分の授業の一部をむりくり切り取ったらこんな感じになってしまいましたw

プロダクト開発をする上で、僕がインセプションデッキで一番大切にしているのはエレベーターピッチであり、インセプションデッキはチームの見えるところにいつも掲げようというのはつまり、僕たちの北極星をいつでも見失わないように輝かせておこうという意味だと解釈しています。

 

みなさんの北極星は今日も見えていますか?輝いていますか?